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陪審員
夫が1月末から3週間ほど陪審員に選ばれた。
2ヶ月くらい前から陪審員としてのお勤めがありますという通達が来ていた。
よほどの理由がない限り、国民の義務として勤めを果たさなければならないらしい。
職場には、陪審員の務めが入りますという連絡をして、契約社員などの場合はどうするのかよくわからないが、雇用主は陪審員の勤めに出ている間も給料を払う義務がある。そして、出廷した日は、国から一日30ドル程度の謝礼と一日がかりであれば、ランチ代が支給されるそうだ。

期間中は、前日の夜または当日の朝に電話かインターネットでお勤めがあるかどうかを確認しなければいけない。電話などがかかってきて、教えてくれるわけではなく、自分で確認しなければならないのでかなり面倒。
夫は今朝そのことを全く忘れていて、会社に出勤後、電話をしたら、今日に限ってはお勤めがあるということがわかったそうだ。

私はN君を学校に送って行ったあと、会社から戻ってきた夫を車で裁判所に送った。9時半までに集合ということだった。
夫の話によると、58人くらいの選ばれた陪審員の人が揃っていて、その後、くじ引きのようなもので、12人が選ばれる。12人の中に選ばれた場合でも、被告・原告本人や家族を知っている場合は、陪審員をおりなければいけないそうだ。
夫はくじ引きに当たり、その中に入っていたのだが、裁判のときに被告が罪状を認めたので、陪審員は不要となり、他に陪審員の必要なケースはなく、今日は帰されたそうだ。
明日の分をチェックしたが、明日は出廷しなくてよいそうだ。

12人の陪審員の意見は有罪か無罪であるか一致していなければならず、一人でも異なる人がいる場合は、その人が納得するまで話し合うらしい。
夫は集まった人たちを見ながら、この人は討論好きそうだなとか、この人はどうでもいいんじゃないって感じだなあとか観察していたそうだ。実際、自分の見解があたっていたかどうかは、話し合いを持つ機会が今日は無かったので確認できなかったようだけど。。。

陪審員の意見は、意見として参考にされるが、最終的には裁判官が有罪か無罪か、懲役などの決定は裁判官が握っているということを夫が説明してくれた。

私も以前、実はオーストラリアで証言をしなければならなかったことがある。
思い出すと、ある人に対してガッカリした悲しい出来事ではあるが、とても勉強になったとは思う。
私の軽はずみな言動によって会社にも迷惑をかけてしまったことが、自分だけのこととしてとめられなくて申し訳なかったと思う。その人は私ではなく会社を相手に訴えたのだが、決定的な判断とされたのは、私の言葉だったので、私の証言が必要だった。

私はその人を悲しませたり、自信をなくしたりしないようにという配慮から、なぐさめるつもりで言ったのだが、その言葉を逆手に取られたのだがとてもショックだった。私は、「本人を傷つけないために思いついた言葉でしたが、確かにそのように発言しました」と正直に証言した。証言しながらもなんだか裏切られたような気持ちになり悲しくて涙がとまらなかった。
会社はその人に対して、賠償金を払うことで落ち着いた。

その人がどうやったら仕事ができるようになるか、色んな方法を使って、一生懸命手伝っていたので、感謝もしてくれていたのだが、お金が欲しくて訴えるという手段をとられたことにとても傷ついたし、しばらく起こったことが信じられずに泣いて過ごした。訴えた本人は、私にはとてもよくしてもらったので、感謝はしている、とそのときに言っていた。私にはそれなら何故?としか考えられなかった。

訴えた本人に対しては申し訳ないという気持ちはその当時全くもてなかったが、それは、あんなによくしてあげたのに、という気持ちが私の中にあったからだと思う。本人は訴えるくらいだから、ひどく傷ついたのであろうと思う。私のひとりよがりな配慮から傷つけてしまったことは申し訳なかったと思う。

本人にとって、聞くのがつらいことというのは、伝える側もつらい。それでも、きちんと本当のことを伝えなければいけないと知ったとてもつらいレッスンだった。

そのときのものは、陪審員などはいないもので、会社の人事部長と私と訴訟を起こしたその人と、事情を聴取している人(弁護士だったのかな)と記録係だけだったと思う。会社側も裁判ではなく確か話し合いで解決する方法を選んだように思う。

裁判の事を書いているうちに、今日はちょっと悲しい思い出がよみがえってしまった。
by stakesue | 2008-02-04 23:21 | オーストラリア